ずっと前に赤也と、好きな女に恋愛相談されることはそれはもうこの世の果てだ!という話をしたんだけど、この世の果てには確かもう一つ条件があったはず・・・なんだっけ?

 

 

 

 

 

際涯

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、もうそろそろ部室の鍵閉めたいから早く着替えてー」
そう言って部活後の疲れた俺らを急かすのは、マネージャーの。気が強くてしっかりしてそうなんだけど、実はそーでもなくて結構天然だったりする俺のクラスメイト、兼、俺の好きな人。
ここで、俺の彼女、なんて言えないところがちょっと悔しいけど、今のところ敵ナシ!ってくらい仲良いから焦ることはない。(と言い聞かせてる)

 

 

 

の家は俺の帰り道の途中にあるから俺たちはいつも一緒に帰る。

今日もその例外じゃなかった。
帰り道に今日あった授業の話をしたり、お互い友達の話をしたり、家に帰ってからの話をしたり。
だけど、いつもとは僅かに例外だった。

 

「ねぇ、丸井、」
「何?(あ、今の上目遣いマジかわええ)」
「今からまじめな話するからまじめに聞いて?」
「ラジャー!」
「あたしさ、今、好きな人いるんだわ、テニス部に」
「うん。(もしかして、、、告白?!)」
「どーするべき?」
「うん?(何を?)」
「やっぱ部内ってのは危険だと思うわけ。フラれたときとか気まずいじゃん?」
「あー、でも大丈夫っしょ!(俺だった場合それはないし!)」
「そーかなぁ、、、あ、今の話、誰にも言わないでよ?特に、仁王、に、は、、、」

それじゃ!ってはすぐそこまで来た家へ走って帰っていった。

 

 

可愛い顔が真っ赤になったんだ、『仁王』と口に出したとき。
こんな例外、在り得ない

 

 

 

 

 

 

 

──好きな女に恋愛相談されることはそれはもうこの世の果てだ──
この世の果てに一歩前進した俺に、さらに追い討ちをかけるようにケータイの着信音が閑静な住宅街に響く。

 

「もしもし」
「あ、俺やけど、ちゃんとを家まで送り届けたと?」
「ああ。」
「それなら良か。最近物騒じゃけんのー、ん家の近くは。丸井も気をつけんしゃい」

 

俺はケータイの向こうが終話を意味する機会音に代わっても、holdを押せずにいた。
と同時に思い出した、この世の果て、のもう一つの条件。

それは、仁王と好きな女がかぶること

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例外のその日から1週間。
仁王の隣りには、俺の大好きな笑顔で笑うがいる。
そして、その笑顔を持って俺にありがとうと言うのだ。

俺は何もしていないのに。ただ一人で勘違っていただけなのに。

 

 

 

 

例によって
今でもこの世の崖っぷちに立っている俺が
ただ一つ、願うことといえば
俺にもきみと同じ幸せが来るように

俺はこの世の最果てで ただ祈る